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「精進落としの献杯の挨拶をお願いできますか」と急に頼まれて、『何を話せばいいの?』と焦っている方も多いはずです。
結論から言うと、告別式の献杯の挨拶は、名乗って故人との関係を伝え、短い思い出をひと言添えて「献杯」と発声すれば十分です。長さよりも、落ち着いて言い切ることのほうが大切なんです。
この記事では、そのまま使える立場別の例文と、乾杯との違い、避けたい言葉をお伝えしますね。
告別式の献杯とは?乾杯との違い
献杯は、亡くなった人をしのんで杯を捧げることです。お祝いの乾杯とは意味が違うので、声の大きさや杯の扱いも控えめにします。
デジタル大辞泉では、献杯は「相手に杯を差し出して敬意を表すこと」とされています。補説として、「故人をしのんで献杯します」のように、亡くなった人を悼んで杯を捧げることもいうと説明されています。
告別式の日の献杯は、火葬や法要を終えたあとの会食、精進落としの始まりに行うのが一般的です。全日本冠婚葬祭互助協会(全互協)は、喪主がお礼を述べたあと、僧侶に献杯の音頭をとってもらう流れを紹介しています。
献杯と乾杯の違い
『いつもの乾杯と同じように言えばいい?』と思うかもしれませんね。献杯は故人をしのぶためのものなので、乾杯とは振る舞いを変えるのが一般的です。
- 故人をしのんで、静かに杯を捧げる
- 発声は落ち着いた声で「献杯」
- 杯を軽く持ち上げる程度
- お祝いや門出を喜んで、杯を合わせる
- 発声は明るく大きな声で
- 杯を高く上げたり、合わせたりする
杯を高く上げない、杯を打ち合わせない、拍手をしないといった作法は、一般にそう言われているものです。業界団体の説明で細かく決められているわけではないので、周りに合わせれば大丈夫ですよ。
献杯の挨拶は4つの部品で組み立てる
献杯の挨拶は「名乗る、故人との関係、短い思い出、献杯の発声」の4つを順に並べれば形になります。全部で数文、ゆっくり話して言い終える長さが目安です。
決まった型があるわけではありませんが、この4つの部品に分けると、急に頼まれても組み立てやすくなります。
| 部品 | 何を言うか | 例 |
|---|---|---|
| 1.名乗る | 自分の名前と、挨拶をする立場 | 「故人の甥の〇〇でございます。僭越ながら、献杯の発声をさせていただきます」 |
| 2.故人との関係 | どんな間柄だったか | 「叔父には、子どものころから家族のようにかわいがってもらいました」 |
| 3.短い思い出 | 人柄が伝わるエピソードをひと言 | 「釣りに連れていってくれた日のことを、今もよく覚えています」 |
| 4.献杯の発声 | 参列者に杯を持ってもらい、発声する | 「皆さま、お手元の杯をお持ちください。献杯」 |

名乗りで使う「僭越(せんえつ)ながら」は、自分の立場を越えて出しゃばることをへりくだる言い方です。目上の親族が多い席で頼まれた時に添えると、場になじみます。
反対に、喪主自身や故人の配偶者が発声する時は、「僭越ながら」は付けずに「献杯の発声をさせていただきます」で十分です。
4の発声のあとは、皆さんが「献杯」と小さく唱和し、ひと口いただいてから席に着きます。発声の前に、全員の杯に飲み物が行き渡っているか、目で確かめておくとスムーズです。
- 参列者の杯に飲み物が注がれているか
- お酒が飲めない人にはお茶やジュースが用意されているか
- 喪主の挨拶が終わり、司会や喪主から合図があったか
- 僧侶が同席しているか(法話のあとに献杯することが多い)
全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)は、僧侶が同席する場合は最上座に案内し、献杯の前に法話などをお願いすると説明しています。
献杯の前後はこう進む
当日の流れが分かっていると、自分の出番がいつ来るのか落ち着いて待てますよね。全互協と全葬連の説明をもとに、精進落としの始まりから終わりまでを並べました。
- 喪主か遺族代表が開宴の挨拶をする
- 僧侶が同席していれば法話をいただく
- 献杯の発声と、参列者の唱和
- 会食。喪主や遺族は席を回ってお礼を伝える
- 喪主か遺族代表が閉宴の挨拶をする
全葬連は、精進落としは1時間から1時間半くらいで切り上げると説明しています。献杯は始まりの合図なので、そのあとはゆっくり食事を楽しんでもらえば大丈夫です。
立場別の献杯の挨拶の例文
例文は「〇〇」の部分を自分の言葉に置き換えて使ってください。思い出は1つに絞ると、短くても気持ちが伝わります。
誰が献杯の発声をするかについて、業界団体の説明で決まりは示されていません。全互協は僧侶にお願いする形を紹介していますが、親族や故人と親しかった人が頼まれることもあります。
親族代表・故人の子ども・孫の例文
| 立場 | 例文 |
|---|---|
| 親族代表(故人の弟など) | 「故人の弟の〇〇でございます。兄は口数は少なかったものの、いつも家族を気にかけてくれる人でした。本日は最後までお見送りいただき、ありがとうございました。皆さま、ご唱和をお願いいたします。献杯」 |
| 故人の子ども(次男など) | 「故人の次男の〇〇でございます。父は、私たちが帰省するたびに庭の野菜を持たせてくれました。その父をしのびながら、杯を捧げたいと思います。献杯」 |
| 孫 | 「孫の〇〇です。祖母の作るおはぎが大好きで、遊びに行くといつも用意してくれていました。祖母への感謝を込めて、献杯をさせていただきます。献杯」 |
喪主が別にいる時は、お礼の言葉は喪主が述べているので、献杯の挨拶では短くとどめて大丈夫です。
友人・会社関係の例文
| 立場 | 例文 |
|---|---|
| 友人 | 「故人とは学生時代からの友人でした〇〇と申します。会うたびに冗談で場を明るくしてくれる人でした。楽しかった日々に感謝して、献杯したいと思います。献杯」 |
| 会社の上司・同僚 | 「〇〇株式会社で、故人と同じ部署におりました〇〇でございます。仕事では、困った時にいつも手を差し伸べてくれました。そのご恩をしのび、献杯をさせていただきます。献杯」 |
| 地域・趣味の仲間 | 「町内会で長くご一緒しておりました〇〇です。祭りの準備では、いつも先頭に立ってくださいました。皆さまとともに、故人をしのびたいと思います。献杯」 |
会社関係で頼まれた時は、仕事の細かな話より、人柄が伝わるひと言を選ぶと場にふさわしくなります。
喪主が自分で献杯の発声もする時
家族葬など少人数の会食では、喪主がお礼の挨拶に続けて、そのまま献杯の発声をすることもあります。その場合は、お礼と献杯をひと続きにまとめると自然です。
「本日はお忙しい中、最後までお見送りいただき、ありがとうございました。おかげさまで無事に見送ることができました。ささやかですが、母の思い出話をしながらお召し上がりください。それでは、献杯」
思い出が浮かばない時のひと言
『故人とそこまで深い思い出がない…』という場合もありますよね。そんな時は、無理にエピソードを作らなくてかまいません。
| 使えるひと言 | 合う場面 |
|---|---|
| 「いつも穏やかに声をかけてくださる方でした」 | 近所や職場で顔を合わせていた |
| 「お会いするたびに元気をいただきました」 | 会う機会は少なかったが印象が残っている |
| 「家族を大切にされていた姿が心に残っています」 | 遺族と親しく、故人とは面識が浅い |
人柄を表すひと言があれば、献杯の挨拶としては十分に伝わります。
献杯の挨拶で避けたい言葉と振る舞い
重ね言葉や、不幸が続くことを連想させる言葉は避けます。亡くなったいきさつにも触れません。
全葬連は、弔事で避ける言葉として、重ね言葉や繰り返しを連想させる言葉を挙げています。献杯の挨拶でうっかり使いやすいものと、言い換えを表にしました。
| 避けたい言葉 | 理由 | 言い換えの例 |
|---|---|---|
| 重ね重ね、たびたび、くれぐれも | 不幸が重なることを連想させる | 加えて、よく、どうぞ |
| 再び、引き続き、また | 繰り返しを連想させる | 今後とも、これからも |
| 死ぬ、生きていた頃 | 生々しい表現 | 亡くなる、ご生前 |
| 浮かばれない、迷う | 仏教で避けるとされる | 安らかに |
また、乾杯のように明るく大きな声で「かんぱい」と言ってしまうのはよくある失敗です。

緊張すると、つい言い慣れた「乾杯」が口から出てしまうことがあります。発声の直前に、心の中で一度「献杯」と唱えておくと安心です。
キリスト教や神式の場合は、「冥福」「供養」「成仏」などの仏教の言葉を使わないとされています。宗教が分からない時は、「心よりお礼申し上げます」のような宗教に関係しない言い方を選ぶと迷いません。挨拶全般の基本は告別式の挨拶の基本でも紹介しています。
献杯の挨拶についてよくある相談
Yahoo!知恵袋には、献杯の挨拶の言葉そのものや、孫・次男として頼まれた時の相談が多く寄せられています。閲覧の多い相談を要約してお答えしますね。
急に献杯の挨拶を頼まれたが、何をどう言えばいいか分からない、という相談です。
この記事の4つの部品を、そのまま並べてみてください。「名乗る、関係、思い出、献杯」の順なら、短くても形になります。
紙に書いて手元に持っておいてもかまいません。読み上げる形でも、気持ちはきちんと伝わります。
祖母の告別式で初七日の法要も行われ、そのあとの会食で孫として献杯の挨拶を頼まれた、という相談です。
孫の挨拶は、祖父母との身近な思い出をひと言添えるだけで、場があたたかくなります。上の孫の例文の「おはぎ」の部分を、自分の思い出に置き換えてみてください。
『若い自分が話していいのかな』と遠慮する気持ちもありますよね。頼まれたということは、喪主や親族がそれを望んでいるということなんです。
親の告別式で、喪主は長男、自分は次男として献杯の挨拶をすることになった、という相談です。
喪主の挨拶でお礼は伝わっているので、次男の献杯の挨拶は名乗りと短い思い出だけで十分です。喪主との分担は親族代表の告別式挨拶も参考にしてみてください。
もしもの時に相談できる先
献杯や会食の段取りは、葬儀社が進行を組んでくれることが多いものです。自分や家族のもしもの時に、夜中や休日でも電話で相談できる葬儀社を知っておくと、慌てずにすみますよ。
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よくある質問
告別式の献杯の挨拶は、どのくらいの長さがいいですか?
数文で言い終える長さで十分です。名乗り、故人との関係、短い思い出、献杯の発声の順にまとめましょう。
献杯のあとに拍手はしますか?
献杯のあとは拍手をしないのが一般的と言われています。小さく唱和して、ひと口いただきます。
お酒が飲めない時は、献杯の杯をどうすればいいですか?
お茶やジュースを杯に注いでもらえば大丈夫です。口をつけるふりだけでもかまいません。
献杯の挨拶を頼まれたら、断ってもいいですか?
どうしても難しい時は、早めに喪主に伝えれば失礼にはなりません。「ほかの方にお願いできればありがたいです」と理由を添えて相談しましょう。
献杯の挨拶は紙を見ながら読んでもいいですか?
かまいません。緊張する場面なので、手元のメモを見ながらゆっくり読むほうが落ち着いて話せます。
まとめ
- 献杯は故人をしのんで杯を捧げること。乾杯より控えめに振る舞う
- 挨拶は名乗り、故人との関係、短い思い出、献杯の発声の4部品で組み立てる
- 立場に合った思い出を1つに絞ると、短くても伝わる
- 重ね言葉や生々しい表現は避け、言い換える
- 僧侶が同席する時は、法話のあとに献杯することが多い





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